新生児から1カ月までの赤ちゃんの話②

嘔吐と溢乳

赤ちゃんは母乳やミルクを吐き戻すときがあります。
赤ちゃんは胃と食道の境界の筋肉が弱く、飲んだものが容易に逆流するため哺乳後に寝かせると、口元からダラダラと流れ出ることもあります。嘔吐したとしても、体重がよく増えている場合は単に飲み過ぎているだけですので問題ないでしょう。
ただし嘔吐があり、体重の増えが悪い場合は診察を受けてください。

沐浴

赤ちゃんは新陳代謝が激しいので、基本的には毎日沐浴させてください。特に1日中オムツがあたる場所は皮膚炎を起こしがちです。
石鹸を軽く手に泡立ててなでるようにしてから、よく洗い流してください。石鹸は安いものほど余計な香料が入っていませんので、安価な固形タイプがおすすめです。
沐浴剤は必要ありません。

首や股などしわの多い部分は、皮膚を伸ばして丁寧に洗ってください。男の子の場合、ほとんどはおちんちんの包皮が完全にかぶさっています。沐浴のときは手で無理なく反転できるところまで包皮をひっぱり、石鹸をつけた指で洗ってよく流してください。

1カ月検診で問題がなければ、以後は普通のお風呂で結構です。その場合も、お湯は毎日替えて浴槽も毎日洗い、できれば一番風呂にしてください。
赤ちゃんを洗うときは、くれぐれも滑らせて固い床タイルの上に赤ちゃんを落とさないように気をつけてください。

オムツかぶれ

オムツのあたる部位の皮膚が赤くなったり、ひどい場合は皮がむけたりするのは尿や便による炎症です。オムツを替える際、汚れていない部分でお尻をこすらないでください。
赤くなっているときは、沐浴以外にもう1~2回、洗面器などにお湯を張ってお尻を洗ってよく乾かしてください。
また、オムツかぶれではなく、カビによる皮膚炎(カンジダ)の場合があります。この場合、オムツかぶれの塗り薬ではかえって悪化する場合があります。

眼脂(目やに)

目やには、少しなら問題ありません。しかし、べっとり瞼が付くように出る場合は目薬を処方します。
鼻涙管という細い管が炎症を起こしていたり、先天的につまっている場合は眼科の先生に紹介状を書きます。また、逆まつげが眼脂の原因になる場合もあります。

鼻づまり

生後1カ月くらいは鼻づまりが多いですが、ミルクが飲めて体重が順調に増えているならそのまま様子を見てください。生後3カ月までに解消することがほとんどです。
ただし、鼻水が出る場合は、風邪による鼻炎の可能性があります。

くしゃみ、しゃっくり

私が小児科医になりたての頃、先輩に言われたのは「くしゃみ、しゃっくりは赤ちゃんの仕事」です。何も心配いりません。

発疹(顔のぶつぶつ、頭のかさかさ)

生後1カ月ほどで顔に発疹が出る赤ちゃんがいます。
乳児湿疹、乳児脂漏性湿疹、あせも、新生児ざそう(にきび)などがあります。治療の基本は沐浴による清潔です。夏はある程度涼しくするのも、あせもには有効です。
「これはアトピーでしょうか」とよく尋ねられますが、生後1カ月以内でアトピーの診断は不可能です。
乳児湿疹や乳児脂漏性湿疹の多くは、月数とともに自然治癒します。
アトピー性皮膚炎の特徴は、1カ月を過ぎて顔の発疹の程度が重症である、顔を越えて耳、首、体、四肢に拡がる、耳の下が切れている、非常にかゆがる、湿って液が出てくるなどです。
日本の乳児アトピー性皮膚炎の多くは食物アレルギーが原因です。原因となる食物(アレルゲン)を除去するとよくなりますのでご相談ください。

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