新生児から1カ月までの赤ちゃんの話①

赤ちゃんの環境

昔の子どもは、暖房こそあれ冷房のないところで育ちました。赤ちゃんの部屋の室温についても、さほど神経質になる必要はありません。
大抵の病院は室温を25℃程度に設定しています。しかし、ご自宅は冬で20~25℃、夏は25~30℃でよいでしょう。
服を着せ過ぎないようにしてください。背中に手を入れ、少し汗ばんでいれば、着るものや掛けるものを減らしてください。

1カ月ほどで赤ちゃんは体温を調節できるようになりますが、ときどき体に手を当てて、冷たくないか熱くないかを見てあげてください(体温計で測ることまではしなくてもよいでしょう)。
ただ、冷暖房や扇風機の風が直接赤ちゃんに当たらないようにして、冬は電気毛布やホットカーペットは使わないでください。余裕があれば、感染を防ぐ意味で、なるべくお客さんが出入りしない部屋がよいと思います。

赤ちゃんはうつぶせに寝かせないでください。
かつては、うつ伏せ寝が推奨されたこともありましたが、現在は好ましくないとされます。顔が埋まってしまわない、やや硬めの敷き布団に上向きに寝かせましょう。もちろん大人の目が届くところでうつ伏せに寝かせ、赤ちゃんの体操をするのは問題ありません。

赤ちゃんの体重

一般的に赤ちゃんの体重は、生後3日目をピークに出産時より約10%減ります。嘔吐や哺乳不良があって、著しく体重が減少している場合は医師に相談してください。
もし正確に計れる体重計があれば、毎日時間を決めて測定してください。1日に30g前後増えていれば問題ありません。
生後1カ月で、出産時より約1kg増えるのが一般的です。体重が増えない原因はいろいろありますが、一番多いのは母乳の不足です。
しかし生後2週目ぐらいはお母さんの母乳の出方もまだ本格的ではないので、体重増加が少なくてもそのまま経過を見る場合もあります。

赤ちゃんの便

新生児の便は、かなりの個人差があります。
初期(生後1~2日)は胎便という黒い便が出ます。その後、次第に茶色が混ざります。また、緑色の便や、白いつぶつぶが混ざっていたり、すっぱい匂いがしたりすることもあります。しかし、これらはすべて正常です。
一方、異常な便には血液の混ざったもの、灰白色の便、黒い便などがあります。

回数もさまざまです。1日に10回ぐらい水っぽい便をする子や、3~4日に1回しか出ない子もいます。いずれも機嫌よく母乳やミルクを飲み、体重が順調に増えているなら大丈夫です。

3日経っても便が出なければ、綿棒にオイルを付けて肛門から約1.5cm入れ、「の」の字を書くようにゆっくりと刺激して、同時におへそを中心に腹部を手のひらでマッサージしてください。
また、市販のイチジク浣腸の「1才まで用」の半分ほど(全量で10ml)を浣腸するのも安全で有効です。「浣腸は癖になる」と言う人もいますが、根拠はありません。

哺乳

新生児は生後1カ月くらいまで、母乳を飲んで約15分で満腹になり、その後3時間眠るとよくいわれます。個人差はありますが、まだ栄養分の貯蓄が少ないことを考え、半月くらいはできるだけ3時間以上の間隔を開けないよう、眠っていても目を覚まさせて飲ませてください。
夜はもう少し間が開いてもよいと思いますが、泣き出したら頑張って飲ませてください。体重が順調に増えているなら、3時間間隔でなくてもかまいません。

一般に授乳時間が20~30分かかるのは、母乳の出が悪いことを意味します。
その場合は3時間経たずに泣き出すことが多いようです。また、母乳量は水分摂取や栄養だけでなく、精神的な影響も受けます。
母乳にするか、ミルクにするかはさまざまな場合があってよいと思いますが、母乳には赤ちゃんに必要な成分が理想的に配合されているため、出る限りはできるだけ母乳を主体に考えてください。

しかし、ほとんど母乳が出ない、何らかの理由で母乳で育てられないお母さんもいらっしゃいます。赤ちゃん同様、お母さんにも個性があって当然です。疎外感や罪悪感など持つことはありません。
名著『育児の百科』にも「精神の安定や家庭の平和を犠牲にしてまで母乳栄養の主義をまもらねばならぬことはない」と書かれています。
母乳が出ないときは、人工ミルクの助けを借りましょう。そして精神的に楽になった分だけ、赤ちゃんを抱っこして話しかけるなど愛情を注いでください。

赤ちゃんは息を止めて吸うので、哺乳を終えると一時的に息づかいが荒くなりがちです。また、母乳が勢いよく出て飲み込むのが追いつかず、むせて咳き込んだりしても心配いりません。
授乳後はたて抱きにして赤ちゃんの頭をお母さんの肩にのせ、背中をさすったり軽くたたいたりして排気させてください。

  • クリニックニュースの登録
  • WOMEN'S PARK